銚子電鉄のこと

【銚子電鉄】 ぬれ煎餅異常人気、定期券12万円分買う人も…それでも倒産ピンチ、「自力再建は無理」の声も
http://www.j-cast.com/2006/12/04004126.html
相変わらず話題の銚子電鉄です。先週土曜日に銚子に行ってきたことを、勤務先の同僚に話したところ、「あの踏み切りが錆びて、ぼろぼろのところ?」と言われてしまった。鉄道に興味のない人にも、銚子電鉄は知られているようである。
で、引用記事にあるように、相変わらず経営は苦しいようである。今回の騒動を「善」、「偽善」という観点から議論する声もあるが、そんな道徳的な、倫理的な問題ではないだろう。会社の資金難ということであれば、経営的・経済的な問題であり、公共交通機関の存亡の問題であれば、公共サービスの問題であろう。経営上の問題であれば、会社の経営のため、社会的な価値をサービスとして提供し、その対価を得られるようにすればよいだけである。煎餅であろうが、電車のサービスであろうが、新たな「価値」を供給すれば、会社は存続できる。
問題は、「公共サービス」の観点であろう。単なる「移動手段」として考えるのであれば、正直なところ、10キロにも満たないこの路線は、バスに取って代わってしまったほうが、経済的な意味で効率的かも知れない。行政が税金を投入するということは、結局のところ、地元市民が間接的に経営の資金を補填していることになる。これは、当該市民が負担を是とするのであれば、市民でもない限り、周りがどうこういう問題ではない。経営資金の不足分をわざわざ補ってでも得るもの(たとえば、市のシンボルとか、鉄道そのものへの誇り、だとか、観光などへの波及効果)があれば、理解が得られやすいだろう。
ただ、目的もなく、「経営難だから」ということで、漠然と税金を投入しても、ただの無駄で終わってしまうような気がする。そんなこと言い出したら、人口密度が低い過疎地域では、どんな公共機関も成立しないだろう。となると、田舎では、各個人が自家用車を保有しなくてはならない。一方、都会であれば、大人数で電車なりバスといった公共交通機関をシェアしていることになる。どっちが経済的な負担が大きいだろうか?
今回の騒動で、銚子電鉄に来た人も、「ネットやTVで話題だから」、「鉄道がすきだから」、「なんとなくかわいそうだから」と、いろいろ理由があると思う。鉄道に興味がない人が、今回の話題で、地方の鉄道に興味をもってもらえたら、1鉄道愛好家としては、うれしい限りである。